中小企業座談会に参加しました。

世界にはばたく中小企業:㈱リプス・ワークス

それぞれの分野で独自の技術を磨いた4社

須崎国際事業課長(司会) 本日は公社が応援している都内を代表する4社の企業の方にお集りいただき、企業経営に対する考え方や経営者としての生き方をお聞きしたいと思います。まずは自己紹介を兼ねて自社の生い立ち、コア技術の誕生、現在までの技術の変遷や成長についてお話しください。

井ノ原 世界にはばたく中小企業③:㈱リプス・ワークスリプス・ワークスの井ノ原と申します。弊社は2009年に創業した新しい会社です。レーザーの微細加工の技術開発や受託加工、またレーザー加工機をつくるという2つの仕事をしております。微細加工は、これまではシリコンを使ったものが多かったのですが、高性能なレーザーが出てきたことから、素材を問わずに非常に微細な加工が可能になりました。我々のビジネスは、まずはレーザー加工試作のためにお客様が来社され、お客様のビジネスが先に進むようでしたらレーザー加工機をつくってお納めする手順になっています。

石川 世界にはばたく中小企業④:㈱リプス・ワークスヒキフネの石川でございます。私どもは昭和7年に社名のとおり墨田区の曳舟で私の祖父が創業した会社です。今年で84周年を迎え、私が4代目ということになります。私どもはメッキという仕事をしておりますが、メッキにも様々な種類があって、製品をきれいにする装飾メッキ、錆を防ぐ防錆メッキ、メッキをすることによって金属に新しい付加価値をもたらす機能メッキ、あるいは精密メッキなどがあります。弊社は光ファイバー、ガラスにもメッキを施す技術を有しており、タイにも3年前に工場を持ち、40名ほどの規模で稼動しています。
私どもはそもそも装飾メッキとして輸出向けの金属の灰皿に金銀メッキを施す仕事からスタートしましたが、事業が大きく成長した最初のきっかけは、大阪万博でした。その後、昭和53年に技術部を設置し、下請の依存度を低くするという考えのもとに自社開発や共同研究を開始しました。現在では様々なお客様と仕事をさせていただいております。

世界にはばたく中小企業②:㈱リプス・ワークス萩野 世界にはばたく中小企業⑤:㈱リプス・ワークス大和合金の萩野でございます。私どもは昭和16年に私の祖父が創業いたしました。創業前、祖父は特殊鋼の材料メーカーで非鉄の銅合金の研究をしており、銅合金の性能の良さと耐摩耗性の良さを活かす仕事をするために起業したということです。終戦後に一旦会社を閉じましたが、昭和28年に再開しました。私の代になってからは、付加価値の高い新しい材料を開発することに努力しています。良いものを世界に広めるのが私の役目だと考えています。

長瀬 世界にはばたく中小企業⑥:㈱リプス・ワークス㈱ナガセの長瀬でございます。私どもはへら絞りと総合金属加工のデパートで、鈑金、組立、三次元レーザー加工も行っています。へら絞りという技術は、元は英式・米式の旋盤を利用して銃弾や部品、食器などをつくっていましたが、日本人の繊細な技巧や時代のニーズに合わせて活用されてきました。戦後の昭和20年に私の父が創業し、最初は昭島で鍋や釜をつくっていたそうです。昭和53年に法人化して有限会社ナガセ絞り工場になりました。
私は薬剤師だったのですが、父が倒れて、昭和50年5月に入社したのです。私は現場を6年経験し、工場を武蔵村山に移してから営業に専念しました。おかげさまで大手の得意先を開拓し、関西に営業所も出せました。半導体分野を中心に、現在は食料品、医療、車両、理化学、エネルギー、航空宇宙分野などの開拓をしています。我々のモノづくりのキャッチフレーズは「鍋からNASAまで」です。

困難を乗り越えるために行ったこと

司会 会社経営の中で困難を乗り越えるために行った取組みについてお聞かせください。

井ノ原 レーザーを使った微細加工技術開発は、大学や国の研究機関で積極的に行われていました。製造業の現場には微細加工のためのレーザー機械は1台もありませんでした。まずは産業用に使えるレーザーを形にするのが大きな壁でした。その後なんとか形にはしましたが、その活用法が知られておらず、論文等を読みあさりました。結局は大学の先生から摩擦係数を減らせるという話を聞き、試作してデータをとったのですが、そこに一筋の方向性が見えてきました。その他は我々にとっては、レーザーを産業用に活用するという技術開発と、その後の営業や販路開拓が非常に大きな壁でした。現在は40%が車関係、20%が医療機器、残りが光通信、半導体などになっています。

司会 人がやっていないことを見つけ、飛び込み、新しいものをつくって世に提案するというスタイルですね。

井ノ原 それしかなかったとも言えます。創業何十年という企業と競争しても絶対に勝てないので、我々はレーザーによって今ある製品に対して新しい付加価値をつけることを目指しています。

石川 我が社の大きな壁としては、リーマンショックの時と東日本大震災の時に売上げを落としました。その際には従業員のモチベーションの維持を図りました。毎月1回全体会という会議を開いて情報を全て開示し、売上げも利益も全て示すことで会社の状況を共有しました。情報の開示は現在も続いています。一方、きれいな工場でなければ良い製品はできないという考え方から5Sに力を入れて清掃を行いました。毎月第二土曜日の午前中は全体会議、午後は清掃を10年以上続けています。
また、売り上げ関連では、機能メッキの発展形として、光ファイバーのメッキ加工への取組みを始めました。非金属に密着性を確保したメッキ加工の研究に2年ほど費やし、7、8年は底辺でしたが、ここ数年は通信インフラ関係が時勢に乗って、一つの柱の事業に成長してきました。

萩野世界にはばたく中小企業⑥:㈱リプス・ワークス  私どもの特殊合金は様々なものに広く使われているので景気の影響を受けにくいと過信していましたが、リーマンショックのときには売上げが半減しました。従業員の削減は図りませんでしたが、給与は減らしました。給与が減ってもついてくる社員は辞めさせないという方針をとったのです。それ以降、従業員のための研修を充実させ、1か月に1度講師を呼んで社内勉強会を実施するという取組みを開始しました。

長瀬 1つ目の壁は時代の変化とお客様のニーズの変化でした。へら絞りの技術だけではできないような一括受注が求められる時代になったのです。そのような仕事は90%以上の会社が「専門技術がないからできない」と仕事を断りましたが、我が社は「できます、やります」と答えました。ここでお客様の要求に応えられなければナガセの未来はないと考えたのです。職人、技術者、機械の全部を集め、社内にいわば金属加工のデパートをつくったのです。ナガセはへら絞りとその周辺のものづくりが全て一貫製作できる会社になっていました。そして、平成10年に「有限会社ナガセ絞り工場」から「株式会社ナガセ」に社名変更をしました。会社は営業と製作が一体感を持って両輪で走ることが重要ですが、他社の手と技術を借りれば更に発展すると考え「任せて安心パートナーづくり」というキャッチコピーを掲げました。そして、全国的に異業種との連携を進めています(三位一体の完成)。
また、もう一つの壁はリーマンショックのときで、売上げが半減して大変でしたが、お客様の開拓を幅広く行っていたおかげで思いのほか早く立ち直ることができました。

司会 新しい技術や製品の開発、またそれらの改良改善をするときの志や決断はどうだったのでしょうか。

井ノ原 誰も行っていないが要望や可能性がありそうなものに対しては学会や友人から話を聞くことにしています。技術力さえつけば必ず可能性があると考えています。

司会 可能性をキャッチアップする際に何かコツはあるのですか。

井ノ原 レーザーに関連する学会だけではなく、昔から存在する学会に出向いて話を聞きつつ判断します。そして新しい業界や世界からレーザー技術で役立てるニーズを探しています。

石川 我々は加工業なので基本的にはニーズありきです。ホームページを開設していますから、それを見たお客様から問い合わせが入ってきます。それに対して技術部員は間口を広く持って全てに対応するようにしています。今後出てくる問題としては研磨などのメッキの前工程です。特に装飾メッキの際の研磨の自動化や、海外のスタッフを導入するという変化はこれから起こりうると思っています。
また今は、新しい技術の開発同様に目の前のニーズを重視しようと考えています。今年から3年間の中期計画がスタートしましたが、今までの技術をもう一度掘り起こして、展示会でまた違うPRをしてみると、今の時代にはそれがマッチするかもしれないということで、今取りかかっているところです。

萩野世界にはばたく中小企業⑦:㈱リプス・ワークス 面白い合金を開発して町工場が大手企業へ提案しても相手にされないのが普通でした。だから、お客様の課題をうちの材料で解決するという方向にシフトしていきました。難しい課題に対しては100点とはいきませんが、できるだけ評価をいただけるように努力をしています。
また、技術の向上をどのように進めていくかということも課題で、大学の先生にご指導いただきながら、若手からベテランまでの月2回の技術検討会を行ったり、社会人向けの大学院に通わせて、先生や専門家とのご縁をつくったりしています。ほかには、大手企業からの実験委託も請け負うことにしています。彼らの最新のニーズを知ることができるからです。いずれにしても、お客様の細かいニーズに対応できる小回りの利く体制が我々の価値だと考えています。

長瀬 へら絞り業界は職人の高齢化が進み、更には若い職人が育たなかったりで、後継者不足で業界全体が衰退しています。そこで我が社は工業高校とのパイプを活かして毎年若い社員を入社させています。一方、ローテクとハイテクの融合にも挑戦しています。昔からの技術であるへら絞りの後の加工に、新しい技術として三次元レーザー加工機を使用したりしています。
また、私を筆頭として営業力の強化に取り組んできました。プレゼンを通してへら絞り技術のメリットを提案して仕事を増やすとともに、異業種パートナーと連携を取ってメリハリをつけています。企業の企は「人がそこに止とどまる」と書きますが、お客様はもちろん、社員も留まってくれる、人を大事にする会社でありたいと思っています。ともあれ、我々は一次下請ですからお客様やメーカーにものを言える立場です。今後は開発の担当者と直接会って技術的な提供もしていきたいと考えています。

萩野 二次、三次の下請企業だと、図面に材質はこれと決定されていて変えようがありませんが、一次下請であれば代替材料やもっといい材料の提案ができます。

展示会で出会ったお客様へのアプローチ方法

司会 仕事を受注するためにはプロモーションも重要になります。展示会で出会ったお客様に対しては、その後にどのようなアプローチや提案をされているのですか。

井ノ原 展示会ではブースに来たお客様に懇切丁寧に説明をして、お客様の製品のこのようなところに応用できるのではないかと提案します。技術を求めて向こうから連絡が来るのと、こちらから営業に行くのとでは根本的に違うと考えているからです。ちなみに日本はレーザーの後進国ですが、その加工技術を鍛えたのです。当社はレーザーによって複雑怪奇な階層をつくることができます。展示会で説明をすると、「この技術は使える」「レーザーを使って開発しよう」と興奮してお帰りになるお客様がいます。その後の反応を待ち、少しでも反応があれば営業がすぐに出向きます。その会社の人たちを集めてプレゼンテーションを2時間でも3時間でも行うというやり方です。

長瀬 我が社は関西に営業所を設けていますが、M&Aでそこにも事業体をつくるつもりです。また、各地の絞り屋さんとも手を取り合って、テリトリーを侵すことなく連携をとっています。

石川 世界にはばたく中小企業⑧:㈱リプス・ワークス我々はメッキ加工を通じた企業同士の連携と経験を活かして新しい取組みにチャレンジしています。金型から受注するスタイルです。金型から受注することにより、コストも不良も抑えて満足いただける一貫生産ができますと、展示会等を通じてお客様にお伝えしております。
また、光ファイバーについては、他の企業との連携による相互受注により完成品を納品できるようになったことも大きな変化です。材料商社や金属商社に当社に足りない営業力を補ってもらい、相談や受注をいただけるようにしています。光ファイバーについては、海外展示会にも毎年2?3回のペースで出展しています。海外には大きな通信メーカーが存在しますが、海外の企業でファイバーにメッキだけを専業で施す会社は少ないので、まだまだ我々のビジネスチャンスはあると考えています。

萩野 問屋でも商社でも大手であれば大量品なら興味を抱いてくださる一方、素材によっては単価が高くて売れにくいものもあります。そこで商社が現在売っている他の素材や部品とは別に、現在売っていない弊社の材料も追加で一緒に売って頂くという形で提案しています。いずれにしても、海外においても展示会での様々な方々との出会いを活かして、将来は現地に代理店や営業所を構えたいと思っています。

長瀬 私どもは全国の展示会に出展しています。産業交流展では機械を搬入してへら絞りの実演を行っています。実演をご覧いただいた人にできたものを差し上げると、来場者の印象に残るからです。更に、工場見学していただけば、へら絞りを深く理解していただけるというわけです。また、工場見学では、クオリティが高いということと納期厳守であることを伝えています。企業へは映像やサンプル品を持っていき、へら絞りとは何たるかという話をしています。いずれにしても、我々は待つというよりも攻めるというスタンスをとっています。

司会 海外という言葉が出始めましたが、国内市場の飛躍的な成長が難しい中、どのようにして世界市場に打って出るのでしょうか。構想や展望があればお聞かせください。

井ノ原 うちは小規模ですから海外までは手が回りません。しかし、精度が高くて低コストの製品を中国や韓国でつくることができるとすれば、我々は機能面で差別化を図らなければなりません。我々がお客様に提案しているのは、レーザー加工によって機能面の充実まで図れるということなので、例えば中国や韓国で低コストの金型がつくられるならば、我々は金型自体にある種の機能を持たせることで差別化を図っていきます。一方、大手商社がレーザー加工技術に目を向けていますので、提携して展開することも検討しています。だから、海外でのビジネスは現時点では商社にお任せして、我々は技術開発に特化することにしています。

司会 レーザー加工機メーカーとしての地位は世界でどのぐらいなのでしょうか。

井ノ原 おそらく加工技術ではトップクラスでしょう。ただし、レーザーそのものは輸入に頼っていますので制御、光学系を含めた加工技術ということです。我々は日本で使う加工機は日本でつくりますが、海外で使用するものは、レーザーはヨーロッパから、石の定盤はインドから買って、ソフトとレンズと加工軸は日本から調達することになると思います。すでに相当の受注があるので社内の体制を整えているところです。海外向けにつくる場合は、外国に工場を持っている日本企業と連携しようと考えています。

司会 海外で加工技術がトップクラスということは、日本では一番を目指しているということですか。

井ノ原 そうです。日本一を目指してモチベーションを高めています。

石川 弊社の長い歴史の中で、2度中国に進出しましたが、2度ともうまくいきませんでした。1度目は中国でつくって日本に輸入しようとしましたが、商社を介さずに契約したため、結果的にコストが上がり商談が成立しませんでした。2度目はメッキを使った宝飾品関連の新製品を開発しようとして中国に技術委託しましたが、市場が停滞しうまくいきませんでした。その反省もあって十数年海外に出ずに国内で頑張っていましたが、リーマンショックや東日本大震災で超円高になり、3年前にタイに工場をつくりました。材料や設備は品質を考えて日本のものを使うとコストを削減できるのは人件費だけなので、海外展開の難しさを改めて感じています。しかし、タイに進出したことでご縁ができ、日本の工場での仕事をいただくこともできました。なお、光ファイバーについてはアメリカとヨー
ロッパに代理店を構えて受注を拡大している状況です。

長瀬 タイは失業率ゼロ、人件費も上がっていると聞きますが実際はどうなのですか。

石川 国の政策で人件費は毎年少しずつ上がっています。タイ人の最低月収は3万円ぐらいですが、うちでは3万5000?4万円支給しています。

司会 大和合金さんは世界のサプライチェーンが近くなっていると実感される立場にいらっしゃると思いますが、いかがなのでしょう。

萩野 我々の希望は、国内外の既存の得意先企業のみならず、多くの潜在顧客により良い材料を使っていただいて喜んでいただき、頼りにされる存在でありたいということです。いずれにしても、他社との差を発信したり、クレームがあった際に毅然と対応するためには語学を磨く必要があります。

司会 長瀬さんも自分の技術が海外に出ていくことが多いと思いますが、どのようにお考えですか。

長瀬 世界にはばたく中小企業⑨:㈱リプス・ワークス海外拠点を設置することで、海外販路の 情報収集や現地企業との連携を図りたいと考えています。できれば日本の公的機関とともに何社かの協力体制で海外に進出できたらありがたいと思います。シェア的にはフィリピン、ベトナム、インドネシア、ミャンマーなどに可能性があると思っています。現地の人と地域を育てながら拠点を育てていければと考えています。

石川 海外に拠点を持つメリットは、BCP的な観点からも感じます。タイは幸い地震がない国ですが、万が一の事態になっても装飾メッキとして日本で生産しているものと同じクオリティのものができますから、新たなPRができると思います。

司会 ヒキフネさんはタイ人の社員を日本の現場で育ててタイの工場にフィードバックさせていらっしゃると聞きましたが。

石川 以前の中国の研修生は母国に帰ってしまうとつながりがなくなってしまいました。そこで、現地に工場のあるタイ人を研修生として迎えることになったのです。毎年新しい4名が研修を受けています。

今後目指していく事業展開と事業承継について

司会 今後の事業の継続や拡大に向けて、どのように技術や事業の継承をしていくのかお聞かせください。

井ノ原 我々は日本の高度な技術でつくれるものはつくり、海外でつくれるものは海外から買うというスタンスです。東京でつくるという価値は立地にあります。東京には全ての技術が集結していて、アポイントさえあれば1時間で教授や企業のキーマンと話ができます。名古屋や大阪だって数時間で行けるのです。我が社は大田区にありますが、大田区のDNAは加工技術です。加工技術の立場から評価されるためには、共働できる仲間が必要です。仲間と組んでレーザーを組み合わせ、付加価値をあげることが大事なのです。人が集まる東京だからこそできることだと思います。

司会 井ノ原さんの跡継ぎは。

井ノ原 社員の中にも優秀な人材が何人かいます。経営者の子どもだから社長になれるということは決してありません。

石川 メッキ工場を葛飾に移して40年になり、設備や建物をどうにかしなければならない時期になりました。しかし、メッキ設備と廃水処理を加えれば何億円になってしまいます。日本の市場が縮小していくなかで、こんな大がかりな投資をして大丈夫かという不安はありますが、このまま日本の仕事のボリュームを衰退させるわけにはいかないので、一歩踏み出そうと考えています。
また、知的資産経営プロジェクトと称して若い社員を20名ほど集め、先代社長らから創業以来の話を聞いたことは大きな収穫だったと思っています。危機的状況や対処方法をまとめることでヒキフネという会社の強みと弱みを目に見える形にし、3か年計画に反映させたのです。メッキの加工だけではなく、その周辺の作業も取り込んでいくことで過去最高の売上げにチャレンジしていこうという計画です。

萩野 溶解や鋳造を行っている埼玉の工場の近くに加工部門を引っ越して、本社は東京に残そうと考えています。東京は知の集積都市で、腕のある面白い中小企業が集まっていると感じます。出会いやご縁をいただけたのも東京だからこそだと思っています。ともあれ、我々はこれからも材料一筋でやっていこうと考えています。材料をもっと深く追求したいのです。お客様目線で一歩踏み込んだ材料提案ができれば、お客様との良いご縁が長く続くと思っています。

長瀬 「企業の目的は何か」と問われたら、「継続していくこと」と答えることにしています。継続していくためには事業承継があるわけですが、息子には「2020年10月1日にお前に引き継ぐ」と伝えています。日時を区切ることで本人も周りもその気になって行動できると思ったからです。私にとっても一抹の寂しさはありましたが、大きな喜びでもあるのです。
それから、社員が喜んで働ける会社づくりが最も重要なことだと思います。「全員営業、全員現場」という言葉がありますが、うちは「全員経営」を打ち出しています。社員全員が会社の経営に携わっているという意識を持って、自分の立てた目標を120%達成できるように努力していこうということです。昨年創業70周年を迎えたので、立川のホテルで現役の社員とOBを呼んで記念の会を開きました。そこで私は、「この70年継続できたのは従業員の皆さんが支えてくれたおかげだ」と感謝の言葉を述べました。この言葉は私の実感でした。
今後我が社は新しい4Kに関連する製品開発をしたいと考えています。「環境」・「健康」・「観光」・「教育」の4Kです。息子の代には私どもの絞り技術が世界に打って出る時代になると思いますので、私の部屋には地球儀がおいてあります。

司会 当公社も皆さんが日本で一番という技術を開発し、販路を開拓できるように一生懸命サポートしていきたいと考えています。引き続きよろしくお願い申し上げます。本日はありがとうございました。

世界にはばたく中小企業⑩:㈱リプス・ワークス